底質粒径

particle size

  底生生物は底質粒径とその空隙率(または含水率)に依存して、その生息環境を決定している、 と考えられます。感覚的には「砂泥底にすむ」とか「岩礫底にすむ」なんていう表現は しっくりくるものの、数学的なアプローチみたいなものは皆無かな、などとも思います。 (トポロジー空間の次元数なんてのを考えてみたんだけど、うまくフィットしませんでした><  ターゲットの体長計測にもやや難ありだったかも orz)
  Wentworth は地球もひとつの粒子と考えていたということなので、スケール感大きいです。 ボディサイズと比較して、哺乳類や鳥類は、最も大きな空隙率を要求する生物かも知れませんね。 ぼくの扱う範囲で言えば、まぁたぶん、カニだのヨコエビだのイソメだのは、住んでいる石の裏で、 この大きさは巨礫だから自分にはちょっと大きすぎるかな〜、などとは考えていないでしょうけれどw

砕屑物名称と区分Wentworth (1922)
(mm)
ISO 14688-1
(mm)
礫(礫岩)large boulder630<
boulder 巨礫256<200-630
cobble 大礫64-25663-200
pebble 中礫very coarse gravel32-64
coarse gravel16-3220-63
medium gravel8-166.3-20
fine gravel4-82.0-6.3
granule 細礫very fine gravel2-4
砂(砂岩)very coarse sand 極粗粒砂1-2
coarse sand 粗粒砂1/2-10.63-2.0
medium sand 中粒砂1/4-1/20.2-0.63
fine sand 細粒砂0.125-0.250.063-0.2
very fine sand 極細粒砂0.0625-0.125
シルト(シルト岩) coarse silt 粗粒シルト0.039-0.06250.02-0.063
medium silt 中粒シルト0.016-0.0320.0063-0.02
fine silt 細粒シルト0.008-0.0160.002-0.0063
very fine silt 極細粒シルト0.004-0.008
粘土(粘土岩)clay 粘土0.004>0.002>

  個人的な見解に過ぎませんが、ISO 14688-1 よりも Wentworth (1922) の方が、 フィールドワーク向きな気がします。 どのみち砂分より小さなものは屋外で目視計測するわけないですし (砂泥底なんて言いますが、泥は水を含んで液状化した土、 土は鉱物と有機物の混合物で粒子径1/16mm以下 = シルト分)、 礫分が 2n スケールってのは単純なシステムで便利だと思います。 とはいえ、ISO 14688-1 には large boulder という区分があるのは都合がいいかも。 ゴロタ海岸を念頭に置くなら、もう1〜2段階大きなスケールがあってもいいですよね。 Wentworth を2段階拡大して、例えば イボタマキビは 潮間帯上部よりも高位の1024mm 以上の岩に着く、とかw  ISO 14688-1 を2段階拡大すると2m以上と6.3m以上になって、ちょっと使いにくそうです。
  このほかのサイズ区分として、砂利(2〜5cm)、割栗石(20〜30cm)、 など石材の規格があります(JIS だったと思うんだけど、出典が見当たりません><)。

  ところで、東日本で見られる富士山由来の海岸砂は黒っぽくて、 南西日本の姶良パミスやサンゴ−有孔虫由来の海岸砂は白っぽいですね。 岩礁海岸も、火成岩か堆積岩かで地形がだいぶ変わってきます。
  気候区分や潮流その他、大きな規模の現象の影響が大きそうなので、 フィールドの観察結果で単純比較できませんが、 粒径だけじゃなくて、性状も生物の生息状況に関係ありそうな気がします。

first up date 01 August 2016