Paraprotis pulchra Imajima 1979

ナガレカンザシダマシ/シロエラカンザシゴカイ

環形動物門 多毛綱 定在亜綱 溝副触手下綱 ケヤリ目 カンザシゴカイ科

日本近海産種リスト: 環形動物門 カンザシゴカイ科

rocky and sandy bottoms, 25-27m depth
Mon Shita, Osezaki, Shizuoka, Japan
photo by Kazuyuki Yamada, 21 August 2007
Nikon F90, Nikon AF Micro Nikkor 105mm,
anthis NEXUS, Sea & Sea YS-60, Fuji RDP III

Paraprotis pulchra Imajima 1979 179-181 fig.9. 堀越ら 1979 37-85. 今島 1979 2-14. Imajima 1982 160 table 1. 今島 1986 153-157 table 1-2. Imajima 2006 395.

Paraprotis pulchra ナガレカンザシダマシ 西村 1992 368 pl.71.1.

Paraprotis pulchra シロエラカンザシゴカイ 今島 1996 346 fig.284.

?Paraprotis pulchra Hove Kupriyanova 2009 71.

  潮岬 19-75m(Imajima 1979),大槌湾 63m(堀越ら 1979), 稲取〜洲崎〜下田沖 51-120m(Imajima 1982),隠岐 28-55m(今島 1986), 相模湾(Imajima 2006).
  紀伊半島南部の岩礁性海岸の水深20m以深(西村 1992). 本州中部,水深20〜110m(今島 1996).

  殻の蓋がエラの先端につくタイプのカンザシゴカイで,エラの先端部分には羽状突起をもたない部分が ひょろっと伸びています.砂質海底上の岩礁下縁に群れて着いています.広げたエラの径が 30-40mm くらいと,わりと大型なので簡単に見つけることはできると思いますが,原記載論文では固定されたタイプ 標本の大きさが,エラも含めて 21mm とされています(Imajima 1979, 今島 1996).
  これまでに,大槌湾,下田,隠岐,潮岬で水深 28〜120m からの報告があります.砂質海底のドレッジ サンプルによるものなので,貝殻などについた小型個体が報告されてきたに過ぎません. 例えば,日本産のイバラカンザシ類は 8〜9種が報告されていて,その中には 10mm ちょっとの個体をもとにしたものが含まれています.ダイバーが普通目にするものは片方のエラが径, 高さとも 20mm ほどになると思いますが,このサイズだと本体は 40〜50mm か, もしくはもっと大きくなるはずです.

  日本から報告されているカンザシゴカイ類で蓋が球状になるものは,このほかにシライトカンザシ Filograna implexa Berkeley 1835,フウセンカンザシ Metavermilia inflata Imajima 1979, Apomatolos simplex Uchida 1978,Apomatus enosimae (Marenzeller 1884), Apomatus geniculata Moore & Bush 1904 が知られています.実は,最後の A. geniculata がこの写真の正体である可能性もあります.標本を採集したわけではないので そのチェックができませんけれど,棲管の形状からかなり高い確率で Paraprotis pulchra だろうと考えています(もちろん,未記載種の可能性も残されています).

  なお,Paraprotis 属のタイプ種 P. dendrova Uchida 1978 は殻蓋をもたない, ごく小型の種です. もしかしたら,将来 P. pulchra が他属へ移動されることもあるかもしれません.

first update 10 Sep 2007
modified 01 August 2012

  1. 堀越 増興, 土田 英治, 今島 実, 武田 正倫, 蒲生 重男 & 太田 秀 1979 大槌湾およびその周辺三陸沿岸の底生無脊椎動物−第1次・動物目録. 東京大学海洋研究所大槌臨海研究センター報告, 5: 37-85.
  2. Hove, Harry A. Ten & Elena K. Kupriyanova 2009 Taxonomy of Serpulidae (Annelida, Polychaeta): The state of affairs. Zootaxa, 2036: 1-126.
  3. Imajima, Minoru 1979 Serpulidae (Annelida, Polychaeta) collectes around Cape Shimonoseki, Kii Peninsula. Memoirs of the National Science Museum, (12): 159-183.
  4. 今島 実 1979 付着性多毛類の分類と分布. 海洋と生物, 1(5): 2-14.
  5. Imajima, Minoru 1982 Polychaetous Annelids around Shimoda, Izu Peninsula. Mem. Natn. Sci. Mus, Tokyo, (15): 155-161.
  6. 今島 実 1986 隠岐諸島島後周辺のカンザシゴカイ類. 国立科博専報, (19): 153-157.
  7. 今島 実 1996 環形動物 多毛類. 生物研究社. pp. 530. ISBN 4-915342-10-7.
  8. Imajima, Minoru 2006 Polychaetous annelids from Sagami Bay and Sagami Sea, Central Japan. Memoirs of the National Science Museum, 40: 317-408.
  9. 西村 三郎(編) 1992 原色検索日本海岸動物図鑑, I. 保育社. pp.425.