Laguncula pulchella Benson 1842

サキグロタマツメタ

軟体動物門 腹足綱 新生腹足亜綱 タマキビ目 タマガイ科

intertidal zone, sandy-muddy bottoms
Obitsu River Mouth Flat, Kisarazu, Chiba, Japan
photo by Kayane Lab. with Kazuyuki Yamada, 17 May 2003
Olympus Camedia C-40 ZOOM, Olympus PT-012

Lunatia fortunei サキグロタマツメタ 大山 1969 75-76.

Lunatia fortunei サキグロタマツメタガイ Torigoe 1989 46-49 figs.1-5.

Euspira fortunei サキグロタマツメタ 奥谷 2000 251 pl.125-3. 岩崎ら 2004 34-35. 木村ら 2004 60 table 1. 大越 2004 74-82.

Neverita didyma サキグロタマツメタ 酒井 2000 109-111 [mismatching, see ツメタガイ].

Laguncula pulchella サキグロタマツメタ 鳥越 稲葉 2011. 日本ベントス学会 2012 絶滅危惧 IA 類. 佐藤 千葉 2017 9, 10.

Euspira fragilis サキグロタマツメタ 上野ら 2015 291 table 1.

　 三河湾から瀬戸内海，有明海，朝鮮半島，中国帯陸沿岸（奥谷 2000）． 有明海では絶滅寸前，瀬戸内海では少数の採集記録があるのみ（大越 2004）．
　 L. fortunei= ? L. gilva（大山 1969）．

　 肉食性（奥谷 2000）， 砂地に生息，二枚貝や巻貝の殻に穿孔し軟体部を食べる（大越 2004）． 宮城県鳴瀬町東名浜の潮干狩り場では2004年にアサリの大規模な食害が報じられた（大越 2004）．
　 宮城県のアサリ漁場は閉鎖性が強く，泥分が多いためツメタガイはほとんど見られない（酒井 2000）．
　 宮城県石巻市万石浦の潮干狩り場では中国および北朝鮮産の放流アサリに混入， 輸入されたアサリ十数トンのうち約1/10を抽出して検査，20種を超える381個体の生物を検出， そのうちサキグロタマツメタ7個体，ツメタガイ29個体， ハナツメタ Glossaulax reiniana 48個体，万石浦でサキグロタマツメタが多数生息し， ツメタガイおよびハナツメタが確認されていない理由は不明（大越 2004）．
　 1999年4月19日女川町漁協からの持込みによりアサリ食害種として種名判明，平均 3.1個体／m²， 最大 21個体／m²，泥分の多い汀線付近に多い（酒井 2000）， ただし本文中の学名はツメタガイ．

　 東大理学部茅根研の学生実習では1996年から確認，ただし、”タマガイ科”，”アダムスタマガイ？” などと記録されている（山田未発表）．

first up date 18 May 2003; modified 18 Jul 2018

1. 岩崎 敬二，木村 妙子，木下 今日子，山口 寿之，西川 輝明，西 栄次郎，山西 良平，林 育夫， 大越 健嗣，小菅 丈治，鈴木 孝男，逸見 泰久，風呂田 利夫 & 向井 宏 2004 日本における海産生物の人為的移入と分散：日本ベントス学会自然環境保全委員会によるアンケート調査の結果から． 日本ベントス学会誌, 59: 22-44.
2. 木村 妙子，岩崎 敬二，大越 健嗣，小菅 丈治 2004 博物館・水族館の収蔵標本から見た日本の海洋移入ベントスの現状（2003年収蔵目録調査から）． 日本ベントス学会誌, 59: 58-67.
3. 日本ベントス学会 2012 干潟の絶滅危惧動物図鑑．東海大学出版会． pp.285.
4. 大越 健嗣 2004 輸入アサリに混入して移入する生物 ― 食害生物サキグロタマツメタと非意図的移入種． 日本ベントス学会誌, 59: 74-82.
5. 奥谷 喬司（編） 2000 日本近海産貝類図鑑. 東海大学出版会. pp.1173.
6. 大山 桂 1969 本邦産タマガイ科の分類学的検討（予報）. Venus, 28(2): 69-88, pls.4-5.
7. 酒井 敬一 2000 万石浦アサリ漁場におけるサキグロタマツメタガイの食害について. 宮城水セ研報, 16: 109-111.
8. 佐藤 慎一 & 千葉 友樹 2017 現生生物を対象とした古生物学的研究 その１ ― 干潟貝類の人新世古生態学の研究例 ―. 化石, 102: 5-13.
9. Torigoe, Kenji 1989 Radula of Lunatia fortunei (Reeve, 1865). Venus, 48(1): 46-49.
10. 上野 綾子, 緒方 沙帆, 佐藤 正典 & 山本 智子 2051 奄美大島と九州南部の干潟底生生物群集. Nature of Kagoshima, 41: 287-294.