Umbonium moniliferum (Lamarck 1822)

イボキサゴ

軟体動物門 腹足綱 古腹足亜綱 ニシキウズガイ科

intertidal zone, sandy-muddy bottoms
Obitsu River Mouth Flat, Kisarazu, Chiba, Japan
photo by Kayane Lab. with Kazuyuki Yamada, 23 April 2011
Olympus uTough-8010

Umbonium moniliferum イボキサゴ 奥谷 1994 57-58. 奥谷 2000 77 pl.38.120. Harada et al. 2005 135-143. 日本ベントス学会 2012 17 fig. 佐藤 2012 1-8.

Umbonium moniliferum 大越 2004 78 table 1.

  北海道南部〜九州,潮間帯付近,砂〜砂泥底(奥谷 2000), 東北地方〜九州,朝鮮半島南部,内湾の潮通しの良い砂泥質干潟(日本ベントス学会 2012).
  小作貝塚(船橋市 1983),良文貝塚(香取市 2016)から出土.
  1980年前後から分布域の大半で生息が確認できない状態,東京湾の個体群がオリジナルか要検討, 準絶滅危惧(日本ベントス学会 2012).

  宮城県石巻市万石浦の潮干狩り場では中国および北朝鮮産の放流アサリに混入, 2002年3〜5月に輸入されてきたアサリ十数トンのうち約 1/10 を抽出して検査した結果, サキグロタマツメタ 7個体, シナハマグリ 11個体 を含む 20種以上,381個体を検出,うちイボキサゴは 3個体(大越 2004).

  盤洲干潟における2005〜2007年のコホート解析結果,2005年9月から翌年8月にかけて, 殻径 20mm 弱の階級群に 10mm 強の階級群が加入, 2006年は新規群がほとんど検出されていない(佐藤 2012).
  東大茅根研の実習では2000年頃から観察され始め,それ以前に生貝をみることはなかった. 小櫃川河口干潟の潮間帯下縁付近から潮間帯中部にかけて,2004年5月には最大4000個体/u出現, その後しばらく密度は低いかまたは検出されなかったが,2011年,2014年,2015年は高密度に出現した(未発表).

  砂表面の堆積物食のほか,上げ潮時に頭部だけを底表面に出し, 外套膜を変形した偽水管で海水を吸い込んでろ過摂食する(波部ら 1999 222).
  キサゴ U. costatum がモミジガイおよびヒラモミジガイに顕著な逃避行動を起こすのに対し, イボキサゴはヒラモミジガイには反応を示さず,2種のヒラムシとミクリガイに逃避行動を示す(波部ら 1999 227-228).

first up date 18 May 2003; modified 25 Decemver 2017

  1. 船橋市遺跡調査会 小作貝塚調査団 1983 小作貝塚 II ― 縄文時代後期貝塚の調査 ―. pp.115, pls.97.
  2. 波部 忠重, 奥谷 喬司 & 西脇 三郎 1999 軟体動物学概説 下巻. サイエンティスト社. pp.321.
  3. Harada, Kazuyuki, Satoshi Ohashi, Akihiko Fujii & Akio Tamaki 2005 Embryonic and larval development of the trochid gastropod Umbonium moniliferum reared in the laboratory. Venus, 63(3-4): 135-143.
  4. 香取市教育委員会 2016 国指定史跡良文貝塚. pp.64, pls.53.
  5. 日本ベントス学会 2012 干潟の絶滅危惧動物図鑑.東海大学出版会. pp.285.
  6. 大越 健嗣 2004 輸入アサリに混入して移入する生物 ― 食害生物サキグロタマツメタと非意図的移入種. 日本ベントス学会誌, 59: 74-82.
  7. 奥谷 喬司(編) 1994 水産無脊椎動物,II. 恒星社厚生閣. pp.357.
  8. 奥谷 喬司(編)2000 日本近海産貝類図鑑. 東海大学出版会. pp.1173.
  9. 佐藤 武宏 2012 東京湾盤洲干潟におけるイボキサゴの成長について. Bull. Kanagawa Prefect. Mus. (Nat. Sci.), 41: 1-8.