Crepidula onyx Sowerby 1914

シマメノウフネガイ

軟体動物門 腹足綱 新生腹足亜綱 タマキビ目 カリバガサガイ科

intertidal zone, sandy-muddy bottoms
attached siphon of Rapana venosa (Valenciennes 1846)
Obitsu River Mouth Flat, Kisarazu, Chiba, Japan
photo by Kazuyuki Yamada, 06 May 2015
Sony Cyber-shot DSC-WX100

Crepidula fornicata ネコゼフネガイ

Crepidula onyx シマメノウフネガイ 肥後 1994 102. 奥谷 1994 68 fig.1.2.23. 岩崎ら 2004 25-27. 大谷 2004 52 table 4. 木村ら 2004 60 table 1, 62. 福田 2004 70. 山崎ら 2009 156-161 figs.1-2. 照屋 2016 45-47 pl.

シマメノウフネガイ 佐藤 1994 51. 黒住 2001 23. 科博 2007 112-113 fig.1.I.

  1968年はじめて東京湾,三浦地方を中心に発見(奥谷 1994). 1970年前後に三浦半島金田湾で昭和天皇により採集(科博 2007).
  長崎県国見町のイボニシおよびアカニシ, 島根県御碕のサザエに付着(肥後 1994). 購入した有明海産アカニシ 11 個体より 287 個体の付着を確認(佐藤 1994). 宮城県名取市閖上漁港沖水深 25m,ヒメエゾボラに付着(黒住 2001). 北海道渡島半島南部ヒメエゾボラに付着(山崎ら 2009). 高知県浦戸湾,水深 3-5m ガンゼキボラに付着(照屋 2016).
  北アメリカ産,アワビ類,アカニシアズマニシキなど生きた貝殻上に付着(奥谷 2000). 南北アメリカ大陸の太平洋岸原産,1968年神奈川県三浦市で発見され2000年以降薩南・琉球諸島を除く 全国的な分布をもつにいたった(岩崎ら 2004).
  移入種(岩崎ら 2004大谷 2004木村ら 2004).

  内湾性の貝類のほか外洋岩礁性の貝類にいたるまで殻表や蓋に付着, 大きい雌は小さい雄から順に多数個体を背負う(波部 1983).
  エゾフネガイ属 Crepidula は生殖巣内に精巣部と卵巣部があり,時間的にずれて機能, 雄相 male phase が先にあらわれ,その後雌相 female phase となる雄性先熟の雌雄同体, 数個体が積み重なって生活,最上の小さな個体は雄相,一番下の大きな個体は雌相, 中間にいろいろの程度の性転換個体(波部ら 1994 160).
  寄主の排出物などを食物とする(波部 1983). キクスズメガイはニッチェを奪われた(奥谷 1994).

30 July 2015; modified 25 June 2017

  1. 福田 宏 2004 外来種と同定の問題. 日本ベントス学会誌, 59: 68-73.
  2. 波部 忠重(監修) 1983 学研生物図鑑, 貝 I. 学習研究社. pp.306.
  3. 波部 忠重, 奥谷 喬司 & 西脇 三郎 1994 軟体動物学概説 上巻. サイエンティスト社. pp.273.
  4. 肥後 俊一 1994 長崎県と島根県のシマメノウフネガイの新分布.ちりぼたん, 24(3・4): 102.
  5. 岩崎 敬二,木村 妙子,木下 今日子,山口 寿之,西川 輝明,西 栄次郎,山西 良平,林 育夫, 大越 健嗣,小菅 丈治,鈴木 孝男,逸見 泰久,風呂田 利夫 & 向井 宏 2004 日本における海産生物の人為的移入と分散:日本ベントス学会自然環境保全委員会によるアンケート調査の結果から. 日本ベントス学会誌, 59: 22-44.
  6. 木村 妙子,岩崎 敬二,大越 健嗣,小菅 丈治 2004 博物館・水族館の収蔵標本から見た日本の海洋移入ベントスの現状(2003年収蔵目録調査から). 日本ベントス学会誌, 59: 58-67.
  7. 国立科学博物館(編) 2007 相模湾動物誌. 東海大学出版会. pp.212.
  8. 黒住 耐ニ 2001 シマメノウフネガイの仙台湾からの記録.ちりぼたん, 32(1/2): 23.
  9. 奥谷 喬司(編) 1994 水産無脊椎動物,II. 恒星社厚生閣. pp.357.
  10. 奥谷 喬司(編) 2000 日本近海産貝類図鑑. 東海大学出版会. pp.1173.
  11. 大谷 道夫 2004 日本の海洋移入生物とその移入過程について. 日本ベントス学会誌, 59: 45-57.
  12. 佐藤 勝義 1994 有明海産アカニシに付着していたシマメノウフネガイ.ちりぼたん, 25(2): 51.
  13. 照屋 清之介 2016 高知県浦戸湾における外来種シマメノウフネガイの初確認. Kuroshio Biosphere, 12: 45-47, pl.
  14. 山崎 友資,川南 拓丸,岸本 喜樹,澤野 真紀,五嶋 聖治 2009 北海道南部における外来種シマメノウフネガイの抱卵と漁業被害.ちりぼたん, 39(3-4): 156-161.